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法律相談Q&A

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個人 相続問題関係

裁判の途中で被告が死亡し、相続人全員が相続放棄した場合、裁判はどうなりますか。
  • (1)まず、被告に訴訟代理人がついていない場合は、訴訟は中断します(民事訴訟法第124条第1項第1号)。相続人全員が相続放棄したときは、訴訟手続を受継させるため、原告が相続債権者として死亡被告の相続財産を管理する相続財産管理人選任の申立てを行うことができます(民法第952条第1項)。民法第951条の「相続人があることが明らかでないとき」には、相続人全員が相続放棄をした場合も含まれると解されるからです。そして、相続財産管理人が選任された後、相続財産法人を被告とする訴訟受継の申立てをすることになります。
    次に、被告に訴訟代理人がいる場合には、上記と異なり訴訟は中断しません(民事訴訟法第124条第2項)。この場合には、そのまま弁論を終結して死者名義の判決がなされる場合も理論的にはありえますが、当事者適格の面で不安が残るでしょうから、やはり上記同様、相続財産管理人選任の申立てを行うことになるのが通常と考えられます。
  • (2)相続人全員の放棄があるというためには、配偶者(民法第890条)、第1順位の相続人(被相続人の子、民法第887条第1項)、第2順位の相続人(被相続人の直系尊属、民法第889条第1項第1号)、第3順位の相続人(被相続人の兄弟姉妹、民法第889条第1項第2号)の全員の相続放棄が確定することが必要です。特に、第3順位の相続人には代襲相続が認められるので(民法第889条第2項、第887条第2項)、すべての相続人の相続放棄申述受理が終了するまでにはある程度時間がかかります。
    相続放棄の申立ては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。申立を受けた家庭裁判所は、申立人の意思を確認するため照会を行うことが通常ですので、その照会により申立人の相続放棄の意思が確認された段階で相続放棄の申述が正式に受理されることになります。
    実際に相続人全員が相続放棄するのにどのくらいの時間がかかるかについては、相続人の数にもよるので一概には言えませんが、戸籍の調査によって第3順位の相続人まで割り出すのに時間がかかること、相続放棄の熟慮期間3カ月(民法第915条第1項)の起算点が各相続人にとり各人のために相続の開始があったことを知ったときとされているため、例えば第1順位の相続人による相続放棄申述受理がなされなければ第2順位の相続人の相続放棄の熟慮期間は開始しないことからすれば、すべての相続人の相続放棄申述受理が終了するまでには、ある程度の時間がかかることに留意する必要があります。
  • (3)なお、相続財産管理人選任の申立てをしてから、実際に相続財産管理人が選任されるまでには、1.5か月~2か月ほどかかるとされていますが、各家庭裁判所によって運用が異なることもありますので、まずは被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に問い合わせることが望ましいです。
相続人の一人に予め相続を放棄させたいのですが、何か方法がありますか。
  • 日本の民法上、相続開始前に予め相続を放棄することはできません。 相続開始前の時点で採りうる方法としては、遺留分の放棄(民法第1043条第1項)が考えられます。
    この方法は、(1)被相続人が誰かに全財産を相続させる旨の遺言書を作成し、かつ、(2)放棄する相続人が家庭裁判所に対して遺留分放棄の許可申立てを行い許可審判を受ける必要があります。
  • (1)については、公正証書遺言(民法第969条)を作成するのがよいでしょう。公正証書遺言は、自筆証書遺言と異なり遺言書の紛失や偽造の危険を防ぐことができ、また、自筆証書遺言及び秘密証書遺言と異なり方式違反等により無効となるおそれがなく、家庭裁判所による検認も不要とされるからです(民法第1004条第2項)。
    (2)の遺留分とは、一定の相続人が相続開始後に法律上取得することができる相続財産の一定の割合のことをいいます(民法第1028条以下)。この遺留分は、相続放棄と異なり、相続開始前に放棄することができますが、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に遺留分放棄の許可申立てを行ったうえで許可の審判を受ける必要があります。家庭裁判所の許可が必要とされた理由は、不当な圧力その他により無理やり遺留分放棄を強いられることを防止するためと考えられています。
  • 遺留分放棄の許可申立てにあたり必要とされる添付書類は、遺留分を放棄する相続人及び被相続人の戸籍謄本、被相続人の住民票ならびに遺留分を放棄する対象となる被相続人の財産目録になります。
    実務的には、(1)遺留分を放棄する相続人自身が申立を行わなければならないこと、(2)被相続人が遺留分を放棄する相続人に対して財産を開示することに難色を示し、財産目録を作成したがらないことなどから、なかなか申立てしづらいようです。   また、裁判所は、その相続人が被相続人からある程度の生前贈与を受けていない場合には、申立人の真意による遺留分放棄か慎重に判断するようです。 

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